Oracle Database@Google Cloudの紹介~ついに日本のリージョンも使えるようになったぞ!~

Naoki Nakadate

2025.6.6

2025年4月のGoogle Cloud Nextでの発表から2か月、ついにOracle Database@Google CloudがTokoy・Osakaリージョンで利用可能になりました。

Oracle Database@Google Cloud release notes

これまでは国外の一部リージョンでのみ利用が可能だったため、組織ごとのデータ保存場所のポリシーなどでOracle Database@Google Cloudを利用ができなかった企業でも利用が可能になります。

このブログではGoogle CloudにおけるOracle Databaseのデプロイパターンを整理したのち、Oracle Database@Google Cloudの料金体系と具体的なセットアップ手順を紹介します。

Google CloudにおけるOracle Databaseのデプロイパターン

Google CloudではOracleとパートナーシップ締結によりGoogle Cloudが直接管理するインフラストラクチャー上でのOracle Databaseデプロイと、Google Cloudデータセンター内のOracle Cloud InfrastructureでのOracle Databaseデプロイの2種類に大別されます。

する前から利用可能であったと、パートナーシップの締結により利用可能になったOracle Databaseソリューションの2種類に大別されます。

それぞれをより細かく分類すると下記のとおりです。

今回のOracleとのパートナーシップにより、これまでセルフホストの非マネージドサービスしかなかった選択肢に複数のマネージドサービスの選択肢が追加されました。

これによりこれまでマネージドサービスが利用できないため、Oracle DatabaseのみGoogle Cloud外のサービスを採用していたユースケースでもGoogle Cloudを選択することができます。

Oracle Database@Google Cloudを利用するメリット

Oracle Database@Google Cloudは、単にGoogle Cloud上でOracle Databaseが使えるようになるだけでなく、両社の技術的な強みを融合させることで、これまでのデプロイパターンにはなかった大きなメリットをもたらします。

  • パフォーマンスと超低遅延の実現 Google CloudのアプリケーションとOracle Databaseが同じデータセンター内で高速に直接接続されます。これにより、アプリケーションとデータベース間の通信遅延が最小限に抑えられ、ミッションクリティカルなシステムに求められる高い応答性能を発揮します。
  • Google Cloudの先進サービスとのシームレスな連携 Oracle Databaseにあるデータを、BigQueryやVertex AIといったGoogle Cloudの高度なデータ分析・AIサービスで活用することができます。 これにより、リアルタイムでのデータ活用や、AIによる新たな価値の提供が可能になります。
  • 運用管理の簡素化と統合 サービスの購入、サブスクリプション管理、請求までGoogle Cloud Marketplace経由で一本化できるため、コストを一元管理することができるようになります。 また請求先がGoogle Cloudになるため、新規の契約先を増やす必要がない点にも注目です。
  • オンプレミスからのスムーズな移行 オンプレミスのOracle DatabaseやExadataと完全な互換性を持つため、アプリケーションの改修を最小限に抑えたクラウド移行が可能です。
  • 既存ライセンス資産の有効活用 既に保有しているOracle Databaseのライセンスを持ち込んで利用する(BYOL: Bring Your Own License)ことが可能です。 これによりライセンスへの二重投資を防ぎ、コストを最適化しながらクラウドのメリットを享受できます。

Oracle Database@Google Cloudの料金体系

⚠️2025年6月時点の情報のため最新の情報を確認してご判断ください。

Base Database Service

近日中にリリース予定。

現在未対応。

Exadata Database Service

Exadata Databaseを利用するにはExadata Cloud Infrastructureをプロビジョニングする必要があるため、Exadata Cloud InfrastructureのコストとExadata Dataabseのコストが発生します。

Exadata Database ServiceのvCPU

製品vCPU単位の価格単価単位
Exadata Database OCPU – Dedicated Infrastructure¥104.16¥208.331時間あたりのOCPU
Exadata Database OCPU – Dedicated Infrastructure – BYOL¥25.00¥50.001時間あたりのOCPU

Exadata Cloud Infrastructure X9M

製品単価単位
Exadata Cloud Infrastructure - クォータ・ラック - X9M¥208.331時間あたりのOCPU
Exadata Cloud Infrastructure - データベース・サーバー - X9M¥50.001時間あたりのOCPU
Exadata Cloud Infrastructure - ストレージ・サーバー - X9¥449.991時間あたりのホスト環境

Autonomous Database

utonomous DatabaseではData WarehouseとTransaction Processingで料金体系が分かれています。

いずれも基本的に、インフラリソースのコストとECPUにかかるライセンスのコストが発生します。

Autonomous Data Warehouse

コンポーネント デプロイメント製品単価単位
コンピュート・モデルサーバーレスOracle Autonomous Data Warehouse–ECPU¥52.08ECPU/時間
コンピュート・モデルサーバーレスOracle Autonomous Data Warehouse–ECPU–BYOL¥12.50ECPU/時間
インフラストラクチャサーバーレスOracle Autonomous Data Warehouse Exadata Storage for ECPU¥3.781か月あたりのギガバイトストレージ容量
インフラストラクチャサーバーレスOracle Autonomous Database Backup Storage¥3.781か月あたりのギガバイトストレージ容量

Autonomous Transaction Processing

コンポーネントデプロイメント製品単価単位
コンピュート・モデルサーバーレスOracle Autonomous Data Warehouse–ECPU¥52.08ECPU/時間
コンピュート・モデルサーバーレスOracle Autonomous Data Warehouse–ECPU–BYOL¥12.50ECPU/時間
インフラストラクチャサーバーレスOracle Autonomous Data Warehouse Exadata Storage for ECPU¥17.911か月あたりのギガバイトストレージ容量
インフラストラクチャサーバーレスOracle Autonomous Database Backup Storage¥3.781か月あたりのギガバイトストレージ容量

※ 参考:Oracle Database@Google Cloudの価格|オラクル | Oracle 日本

※ より正確な情報は公式の価格ページをご覧ください

※ 小数点二桁未満切り捨て

ライセンス体系の選択時の注意点

⚠️2025年6月時点の情報のため最新の情報を確認してご判断ください。

後述しますが、Oracle Database@Google Cloudを利用する際にOCIのテナントが必要となります。この時ライセンス体系にPay As You Go を選択している場合、新規で専用のOCIテナントを作成する必要があります。

BYOLを選択するにはExadata Database Serviceの利用に必要なプライベートオファーを受ける必要があります。

Oracle Database@Google Cloudのセットアップ手順

Oracle Database@Google Cloudをマーケットプレイスから有効化し、手動でAutonomous Database Transaction Processingのインスタンスを作成する方法を説明します。

0. 事前考慮事項のチェックリスト

OCIアカウントで利用する設定値

フィールド名必須かどうか入力例備考
Customer TypeBusiness個人アカウントの場合Personalを指定
CountryJapan
Legal Company Name株式会社スリーシェイク個人アカウントの場合項目なし
Alternate English Legal Company Name3-shake. inc,個人アカウントの場合項目なし
田中
太郎
Alternate NameTaro Tanaka英語表記の名前
電話番号1-1234-1234+81が付くため最初の0はスキップする
Street Address22-1 Daikyocho
Apartment, Unit, Floor or PO BoxGran First Shinjuku Gyoen 3F & 4F建物名やフロアなど
Address Line 3
CityShinjuku Ku市区町村名
StateTokyo都道府県
Zip/Postal Code160-0015郵便番号
電子メールtest@example.com
パスワードi57Wy5WPRfiUdO28K6AtkRNu
パスワードの確認i57Wy5WPRfiUdO28K6AtkRNu
ホーム・リージョンJapan East(Tokyo)

Autonomou Databaseで利用する設定値

フィールド名必須かどうか入力例備考
インスタンスIDtest-instance変更不可
データベース名test
データベース表示名テスト用インスタンス
リージョンasia-northeast1変更不可
ワークロードタイプ下記から選択 ・データウェアハウス ・トランザクション処理 ・JSON ・APEX
ライセンスの種類下記から選択 ・ライセンスを含む ・お客様所有ライセンスの使用(BYOL)
ECPUの数22 ~ 512ECPU
コンピューティングの自動スケーリングを有効にするチェックボックス
ストレージ(TB)11 ~ 384TB
ストレージの自動スケーリングを有効にするチェックボックス
バックアップの保持期間301 ~ 60日
パスワードi57Wy5WPRfiUdO28K6AtkRNu
パスワードの確認i57Wy5WPRfiUdO28K6AtkRNu
ネットワーキング選択肢によってより高度な設定が可能
文字セットAL32UTF8デフォルト: AL32UTF8
国別文字セットAL16UTF16デフォルト: AL16UTF16

1. マーケットプレイスの有効化

  1. マーケットプレイス画面に移動する Google Cloudコンソールの検索バーにOracle Database@Google Cloud を入力し、検索結果からマーケットプレイスを押下する。
  1. マーケットプレイスで製品を登録する
    1. 画面中央の登録ボタンを押下し、詳細の設定画面に移動する。
  1. 各種項目を選択し、Oracle Database@Google Cloudのサブスクリプションを行う 下記の項目を設定し、登録を押下する。
    • プランの選択
    • 請求先アカウント
    • 規約への同意
  1. 購入が承認されるまで数十分ほどかかるため待機する

以上でマーケットプレイスでの製品有効化は完了となります。

2. Oracle Cloud Infrastructureの作成と紐づけ

1. Google CloudのOracle Database@Google Cloudの管理画面に移動する

2. 画面中央の「アカウントを作成」からOralce Cloud Infrastructureのアカウントを作成画面に移動する

  1. Oracle Cloud Infrastructureのアカウントを作成する
    1. 下記の項目を入力し、「テナントの作成」を押下する

設定項目一覧

フィールド名必須かどうか入力例備考
Customer TypeBusiness個人アカウントの場合Personalを指定
CountryJapan
Legal Company Name株式会社スリーシェイク個人アカウントの場合項目なし
Alternate English Legal Company Name3-shake. inc,個人アカウントの場合項目なし
田中
太郎
Alternate NameTaro Tanaka英語表記の名前
電話番号1-1234-1234+81が付くため最初の0はスキップする
Street Address22-1 Daikyocho
Apartment, Unit, Floor or PO BoxGran First Shinjuku Gyoen 3F & 4F建物名やフロアなど
Address Line 3
CityShinjuku Ku市区町村名
StateTokyo都道府県
Zip/Postal Code160-0015郵便番号
電子メールtest@example.com
パスワードi57Wy5WPRfiUdO28K6AtkRNu
パスワードの確認i57Wy5WPRfiUdO28K6AtkRNu
ホーム・リージョンJapan East(Tokyo)
  1. OCIアカウント作成完了のメールが届くまで数十分ほど待機する

以上でOracle Cloud Infrastructureの作成と紐づけは完了となります。

3. Autonomous Databaseを作成する

  1. Google CloudのOracle Database@Google Cloudの管理画面に移動する

2. 画面左のナビゲーションバーから「Autonomous Database」を押下する

3. 画面中央の作成を押下し、Autonomous Databaseの作成画面に移動する

4. Autonomous Databaseの設定値を入力する

  1. Autonomous Databaseのプロビジョニング完了まで10分ほど待機する

プロビジョニングが完了するとAutonomous Databaseが利用可能になります。Autonomous Databaseを作成は以上です。

4. Autonomous Databaseのコンソール画面を確認する

  1. Google CloudのOracle Database@Google Cloudの管理画面に移動する

2. 画面左のナビゲーションバーから「Autonomous Database」を押下する

3. 画面中央にある対象データベースの表示名を押下しAutonomous Databaseの詳細画面を表示する

  1. Google Cloud側のコンソールでインスタンスの情報を確認する この画面ではライセンス形態やプロビジョニング先のリージョン、文字セット、接続情報といった最低限の情報のみ確認することができます。 メトリクスをはじめとしたパフォーマンスに関わる情報は閲覧することができません。
リージョンや紐づくOraclu Cloudアカウント、利用する文字セットなどを確認できる画面
Oracle Databaseへの接続に利用する認証情報をダウンロードできる画面

5. 画面上部の「OCIで管理」を押下し、より詳細な情報を確認する

  1. Oracle Cloudの認証が必要であれば認証を行う
  2. Oracle Cloud側のAutonomous Database管理画面に繊維するため、より詳細な設定やモニタリング情報の確認をすることができる

Autonomous Databaseのコンソール画面を確認し、必要な設定・情報を確認する方法は以上です。

まとめ

この記事ではOracle Database@Google Cloudをプロビジョニングし、各種設定画面を確認する方法を紹介しました。

Oracle DatabaseをGoogle Cloudで動かすことでOracle Databaseに蓄積されたデータ資産をGoogle Cloudの先進的なデータプラットフォームで利活用することが容易になります。

またこれまでGoogle Cloudを利用していたものの、Google Cloudで利用可能なOracle Databaseのマネージドサービスを利用できないため、データベースのみオンプレミスに残っていた組織では様々な移行先の選択肢が増えました。

現時点ではネットワークレベルでの統合のみですが、今後のGoogle Cloudサービスとのネイティブな統合に注目です。

参考

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