Gemini Enterprise(旧Google Agentspace)の概要
2025/10/10まではGoogle Agentspaceと呼ばれていたGoogle AIアシスタントサービスのサービス名称変更が行われ「Gemini Enterprise」となりました。
Gemini Enterprise(旧Google Agentspace)は、Google Cloudが提供する企業向けのAIエージェントプラットフォームで、企業内部の様々なデータソース(ドキュメントやスケジューラ、コミュニケーションツールなど)と生成AIを接続し、AIエージェントを活用した情報の検索・タスクの自動化・コンテンツの生成などを行うことができます。
ライセンス・費用・エディション
ライセンス・費用・エディションまとめ表(2025/10/15時点)
| ライセンス名 | Gemini Enterprise Standard | Gemini Enterprise Plus | Gemini Enterprise Frontline | 
|---|---|---|---|
| 費用(月額) | $35/ユーザ/月 | $60/ユーザ/月 | (要Google社へ問い合わせ) | 
| 利用者数 | 25ユーザ以上 | 25ユーザ以上 | Gemini Enterprise Standardまたは Gemini Enterprise Plusエディションのユーザー150 人以上 | 
| データインデクスサイズ ※1 | 30GB/ユーザ/月 | 75GB/ユーザ/月 | 2GB/ユーザ/月 | 
| 契約期間 ※2 | 月契約 or 1年契約 or 3年契約 | 月契約 or 1年契約 or 3年契約 | 月契約 or 1年契約 or 3年契約 | 
| 利用可能機能 | 旧Agentspace/NotebookLMでよく利用されるであろう機能が利用可能。 * セグメント関連コネクタへのアクセス * データコネクタのエコシステム全体へのアクセス * 権限を考慮した上での検索 * Google関連データ元とサードパーティデータ元からの情報基づいた基盤 * 最新のGeminiモデルに優先的にアクセス * 検索 および テキスト生成を組み合わせた回答を取得 * メディア(画像・動画)の生成 * 情報を結びつける手段としてGoogle検索を使用 * エンタープライズ向けウェブグラウンディングサービス(Web Grounding for Enterprise。ヘルスケアや公共事業者向けのグラウンディングサービス(モデルの出力を検証可能な情報源に紐付けるサービスのこと)) * 権限を考慮した上で、事前構築ずみのタスク・エージェントアクションを使用 * 公開済みNotebookLM Enterpriseのノートブックとのchatが可能 * 公開済みNotebookLM Enterpriseのノートブックの作成が可能 * Gemini Enterprise Standard(旧Google Agentspace)のノーコードツール(preview段階)を使用して構築されたカスタムノーコードエージェントを使用可能 * Gemini Enterprise Standard(旧Google Agentspace)外で構築された独自のfull-code agentsの使用 * エージェントマーケットプレイスにアクセス可能 * 基本的なエージェントガバナンス および 管理にアクセス可能 * エンタープライズグレードのセキュリティ および コンプライアンス ※Google社公開の情報はこちらを参考。 | Gemini Enterprise Standardの機能に加え、以下の機能が利用可能。 * Gemini Enterprise Standard(旧Google Agentspace)のノーコードツール(preview段階)を使用してカスタムノーコードエージェントを構築・公開可能 * Deep ResearchなどのGoogle製のout-of-the-boxであるagentsが使用可能 * 高度なエージェントガバナンス および 管理にアクセス可能 | Gemini Enterprise Standardの機能の一部が利用可能。 * セグメント関連コネクタへのアクセス * データコネクタのエコシステム全体へのアクセス * 権限を考慮した上での検索 * Google関連データ元とサードパーティデータ元からの情報基づいた基盤 * 検索 および テキスト生成を組み合わせた回答を取得 * 情報を結びつける手段としてGoogle検索を使用 * エンタープライズ向けウェブグラウンディングサービス(Web Grounding for Enterprise。ヘルスケアや公共事業者向けのグラウンディングサービス(モデルの出力を検証可能な情報源に紐付けるサービスのこと)) * 権限を考慮した上で、事前構築ずみのタスク・エージェントアクションを使用 * 公開済みNotebookLM Enterpriseのノートブックとのchatが可能 * Gemini Enterprise Standard(旧Google Agentspace)のノーコードツール(preview段階)を使用して構築されたカスタムノーコードエージェントを使用可能 * Gemini Enterprise Standard(旧Google Agentspace)外で構築された独自の「full-code agents」の使用(Gemini Enterprise Frontlineではユーザは管理者によってプロビジョニングされた、「以前に開発されたエージェント」のみアクセス可能) * エージェントマーケットプレイスにアクセス可能 * エンタープライズグレードのセキュリティ および コンプライアンス | 
| ざっくりな概要 | Gemini Enterprise Standard(旧Google Agentspace)・NotebookLMの一通りの機能が利用可能。一般的な利用であれば、このライセンスで十分な印象。 | Gemini Enterprise Standardライセンスに加えて、 preview段階の機能や、Deep researchが利用可能。 (Gemini Enterprise Standardライセンスで不足する場合は利用を検討) | Gemini Enterprise Standardライセンスから、一部の「作成系機能」を削った、利用者向けのライセンスのイメージ。 | 
※1 ライセンス利用時に無料で利用できるデータインデクスサイズ。ユーザが入力した質問などに対して、AIエージェントが回答するためにコネクトされた各種情報を参照する必要があるため、その索引を生成する際に利用する容量(1ユーザあたり&月あたり)の上限を示す。これを超過して利用する場合には追加費用が生じる。https://cloud.google.com/generative-ai-app-builder/pricing?hl=ja を参照。
※2 契約期間を年契約にすることで15%程度の割引を受けることができる。割引率は変わる可能性があるため要Google Cloudへ問い合わせ。
アーキテクチャ
アプリ
Gemini Enterpriseで開発するアプリケーションのことを、Gemini Enterpriseアプリケーション(ここでは以降、Gemini Enterpriseアプリ)と呼びます。
エージェント
AIが多くのデータにアクセスし、タスクを自動実行する機能です。 Gemini Enterpriseは、Agentを構築・管理できるGoogle Cloudのプラットフォームであり、その中に各利用者が作ったAIエージェントのことを指します。
具体的には「検索」「生成AI(検索した情報の要約や生成、推論など)」を担う機能のイメージです。 本記事では、「検索」の具体例を後述しています。
データストア
データストアは、アプリが連携するデータの所在のことです。Gemini Enterpriseアプリが連携するデータストアとしては、Googleドライブをはじめ、GmailやGoogleカレンダー、サードパティの様々なサービスを選択することができます。
コネクタ
コネクタは、アプリとデータストアを接続するための設定です。接続するための認証情報などを設定しすることで、データ検索などが可能となります。
セキュリティ
Gemini Enterpriseにログインするために、Googleアカウントを利用する場合でも、サードパーティldPを利用する場合でも、IAM( Identity and Access Management)の仕組みにより、ユーザのログインを許可する必要があります。
IAMの権限を保持していて、かつ、Gemini Enterpriseの有効なライセンスが適用されている場合に、Gemini Enterpriseが利用可能となります。
Gemini Enterpriseで必要となる権限はこちら(https://cloud.google.com/agentspace/docs/access-control)の記載を参照してください。

導入の手順
- (こちらは事前作業)Gemini Enterpriseライセンスを購入し、対象アカウントに適用した上で権限を付与する。
- 以降はライセンス適用後の操作イメージ。- アプリ設定 console.cloud.google.comにログインし、ナビゲーションメニューより、「AI Applications」をクリック。アプリ→「アプリを作成する」をクリックし、アプリケーション「Agentspace -test(今回作成するサンプル)」を作成。
- データストアの接続 アプリケーション一覧より「Agentspace – test(今回作成するサンプル)」をクリックし、 接続されたデータストアをクリックし、「既存のデータストアを追加」をクリック、 接続するデータストアを選択し、データストアの接続を実施する。 ※コネクタ設定については、詳細を後述します。
 
コネクタの設定
Googleカレンダー
自分のGoogleカレンダーの設定を変更する
自分のGoogleカレンダーを開き、上部の「歯車マーク」をクリックし、Settingsをクリック。

Generalメニュー内の「Google Workspace smart features」をクリック。

Google Workspaceを有効化して、「Save」を押す。


APIを有効化する
Gemini EnterpriseのAPIを有効化するために、 https://console.cloud.google.com/flows/enableapi?apiid=calendar-json.googleapis.com にアクセス。
アプリケーションを配置するプロジェクトが選択されていることを確認し、「次へ」をクリック。

ボタン「有効にする」を押して、APIを有効化する。

OAuthクライアントの作成
メニューより、「APIとサービス」→「OAuth同意画面」をクリック。

アプリ名・ユーザサポートメール(ここでは自分のメールアドレス)を入力し、「次へ」をクリック。
対象として「内部」を選択し、「次へ」をクリック。
連絡先メールアドレス(ここでは自分のメールアドレス)を入力し、「次へ」をクリック。
ポリシに同意しますのチェックボックスにチェックを入れて、「続行」をクリック。
「作成」をクリック。
メニューの「クライアント」をクリック。 

「+クライアントを作成」をクリック。
アプリケーションの種類として「ウェブアプリケーション」を選択し、名前を適宜入力。 認証済みリダイレクトURLに「https://vertexaisearch.cloud.google.com/oauth-redirect」と記載を実施した上で、 「作成」をクリック。
OAuthクライアントを作成しました。 という画面が表示されるため、 画面内の「クライアントID」および「クライアントシークレット」をメモしておく。
データストアとして「カレンダー」を選択
「https://console.cloud.google.com/gen-app-builder/」にアクセスし、 「+アプリを作成する」をクリック。
Gemini Enterpriseアプリの「作成」をクリック。

アプリ名・マルチリージョン・会社名を入力し、作成をクリック。

アプリのメニューから「接続されたデータストア」をクリック

「+新しいデータストア」をクリックし、ソース選択画面にてGoogleカレンダーの「select」をクリック。

データコネクタ名を入力し、「作成」をクリック。

カレンダーが接続される(もしもカレンダーが表示されない場合には、「既存のデータストアを追加」をクリックし、先ほど作成したデータコネクタを追加する)。

アプリのメニューから「操作」をクリック
「操作を追加」をクリック

ソースとして「カレンダー」を選択するため、カレンダーの「Connect」をクリック。

名前を適宜入力し、先にメモした、OAuthクライアントを作成しました。 という画面が表示されていた、「クライアントID」および「クライアントシークレット」を入力。

「Verify Auth」をクリックし、自分のアカウントでの認証を実施する。
以下の確認画面が表示された場合は「続行」をクリック。

適宜チェックを入れて「続行」をクリック。

カレンダーの予定作成にチェックを入れ、設定終了をクリック。

アクティブがアクションが追加されていることを確認。

Gemini Enterpriseで予定登録ができるか動作確認を実施
アプリの概要の右側にある「Gemini Enterpriseに移動」をクリックする。 (下図は「Agentspaceに移動」と表示されていますが、10/10に更新が行われており、10/15現在は「Gemini Enterpriseに移動」と表示されています)

Gemini Enterpriseの画面に移動。 (下図ではロゴとして「Google Agentspace」と表示されていますが、10/10に更新が行われており、10/15現在は「Gemini Enterprise」と表示されています。以降、本項で説明していく図は同様の読み替えをしていただければと思います)

メッセージ入力欄に、「金曜日の21:00-22:00に「読書」という予定を入れて」と入力し、Enterを押す。直近金曜日の21:00-22:00に予定を登録する旨の確認メッセージが応答されてくる。

「承認」を押すと、認証画面が表示されるため、予定を登録する対象アカウントをクリックして認証を実施する。

以下の画面にて「続行」をクリック。

「次へ」をクリック。

承認が完了すると、「送信」(予定の登録)が可能となる。

「送信」をクリックすると、予定が登録される。

カレンダーを見ると、Gemini Enterpriseによって予定が登録されていることを確認できる。

Gmail
前述のGoogleカレンダーと同様の手順は一部説明を簡略化して説明します。
自分のGmailの設定を変更
Gmailにアクセスして、設定ボタン(歯車マーク)をクリック。

クイック設定で全ての設定が表示されない場合には「すべての設定を表示」をクリック。

設定→「全般」を選択し、設定項目の中ほどにある、Google Workspaceのスマート機能の「Workspaceのスマート機能の設定を管理」をクリック。

Google Workspaceのスマート機能がONになっていない場合は、ONにした上で「保存」をクリック(ONになっている場合は「キャンセル」をクリック)。

APIを有効化する
前述のGoogleカレンダーの手順を参照。既に有効化している場合はSKIPして問題ありません。
OAuthクライアントの作成
前述のGoogleカレンダーの手順を参照。既に作成している場合はSKIPして問題ありません。クライアントIDとクライアントシークレットは後の手順で利用するためご準備ください
データストアとして「メール」を選択
「https://console.cloud.google.com/gen-app-builder/」にアクセスし、 前述のGoogleカレンダーの手順にて作成したアプリをクリック。
「接続されたデータストア」をクリックし、「新しいデータストア」をクリックし、Google Gmailの「select」をクリック。

データコネクタ名を入力し、「作成」をクリック。

Google Gmailのデータコネクタが作成されていることを確認する。

アプリのメニューから「操作」をクリック
「作成」をクリック

ソースとしてGoogle Gmailを選択するため「Connect」をクリック。

コネクタ名を適宜入力し、クライアントID・クライアントシークレット(前述のGoogleカレンダーの手順を参照)を入力し、「Verify Auth」をクリック。

認証を実施し「続行」をクリック。

メールを送信する にチェックを入れ、設定終了をクリック。

Google Gmailが追加されていることを確認。

Gemini Enterpriseを利用しメールが送信できるか確認
アプリの概要の右側にある「Gemini Enterpriseに移動」をクリックする。 (下図は「Agentspaceに移動」と表示されていますが、10/10に更新が行われており、10/15現在は「Gemini Enterpriseに移動」と表示されています)

Gemini Enterpriseの画面に移動。 (下図ではロゴとして「Google Agentspace」と表示されていますが、10/10に更新が行われており、10/15現在は「Gemini Enterprise」と表示されています。以降、本項で説明していく図は同様の読み替えをしていただければと思います)

メッセージ入力欄に、「送信先メールアドレスに、タイトル「hoge」、本文「よろしくお願いいたします」というメールを送信」と入力して、「承認」をクリック。

認証画面や確認画面が表示された場合は、前述のGoogleカレンダーの手順と同様に操作。
承認が完了すると送信できるようになるため「送信」をクリック。

「送信」ボタンを押すとメールが送信される。

Googleドライブ
前述のGoogleカレンダーと同様の手順は一部説明を簡略化して説明します。
作成したアプリケーションへのデータストアを追加
「新しいデータストア」をクリック。

Googleドライブの「select」をクリック。

接続するデータストアのドライブソースを指定し、「続行」をクリック。 (共有ドライブ(GoogleDrive)のフォルダIDは、URLから確認することが可能(画像を参照))

データコネクト名を適宜入力し、「作成」をクリック。

Google Driveが追加されていることを確認。

Gemini Enterpriseを利用し検索が実施できるか確認
アプリの概要の右側にある「Gemini Enterpriseに移動」をクリックする。
Gemini Enterpriseの画面に移動。
「SREの事例」と入力すると、GoogleDriveなどから得られた情報をまとめて表示してくれる。 (下図ではロゴとして「Google Agentspace」と表示されていますが、10/10に更新が行われており、10/15現在は「Gemini Enterprise」と表示されています)

他サードパティコネクタ(本記事ではOneDrive内にあるExcelファイル内の情報検索)の例
事前作業
事前作業として、Onedrive内に下記内容のExcelファイルを作成しておく。

Gemini Enterpriseを利用し動作確認
作成したアプリを選択し、メニュー右側にある「Gemini Enterpriseに移動」をクリック。

エージェントの作成
エージェントデザイナーが起動したら、左側メニューの「エージェントを作成」をクリック。

以下の内容でエージェントを編集して、右上に表示されている「保存」をクリック。
- 名前agent-test
- 目標sharepoint内を検索し指定された日付の発表者を表示する。
- 手順以下のURL先のファイル内で指定された日付の検索を実施し、その日の発表者を表示する。
 <sharepointのリンクをここに貼り付ける。例:)https://hogehoge.sharepoint.com/:x:/g/personal/name_company_com/XXXXXXXXXX_XXXXXXX?e=XXXXXX>
- データソースとツール Onedrive
保存が完了していることを確認。

Google Agentspaceを利用し検索が実施できるか確認
左メニューから「新規」をクリック。

入力欄に「@agent-test」と入力して先ほど作成したエージェントを選択。

agent-testが指定された状態で、メッセージのやり取りができるようになる。

「今週の発表者は?」と質問すると、今週の発表者が検索され、表示される。

下部に表示されている「来週の発表者は誰ですか?」をクリック。

来週の発表者が検索され、表示される。

※利用可能なコネクタは下記を参照。 https://cloud.google.com/gemini/enterprise/docs/introduction-to-connectors-and-data-stores#supported_third-party_data_sources
注意点
Gemini Enterpriseは現在も改善が続いているプロダクトであるため、一部機能が想定通り動作しないケースがあります。
現時点ではリージョンごとにライセンスが必要となるため、複数リージョンで利用する場合にはライセンスが倍必要となる場合もあることに注意が必要です。
 
				        