DX内製化が失敗する理由と、成功企業が選ぶ「伴走支援」とは―「外部委譲」も「自社だけ」も限界な時代の、第3の選択肢―

Sreake事業部

2026.3.24

1. なぜ今、多くの企業で「IT戦略の見直し」を迫られているのか?

この章で分かること: IT戦略の見直しが求められている背景と、従来型の外部委託が抱えるリスク

「システムを変えたいのに、ベンダーへの確認だけで3ヶ月かかった」――そんな経験ありませんか?変化のスピードが競争優位を決める今、このタイムロスは事業の生死に直結しかねません。

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション:データやデジタル技術を用いて、ビジネスモデルや組織を変革し、競争優位性を確立すること)を推進する上で、多くの企業が共通のジレンマに直面しています。それは、「ITシステムの企画・開発・運用を、どこに・どう担わせるか」という問いです。

これまで日本の多くの企業は、システムの開発・運用を外部ITベンダーに委託してきました。業務担当者が要望を伝え、システムが出来上がり、マニュアル通りに使い、不具合はベンダーに問い合わせる――こうした体制が長年の標準でした。

しかし近年、この体制には事業上のリスクが潜むことが明らかになっています。システムの中身が自社では把握できない「ブラックボックス化」に陥り、IT予算の多くが既存システムの維持保守に割かれ続けます。ちょっとした仕様変更や新しいビジネスアイデアの実現にも、外部ベンダーとの見積もり・調整が必要となり、委託先のスピード感に自社のビジネス速度まで左右されてしまいます。

こうした問題意識を背景に、「内製化(これまで外部委託していたシステムの企画・開発・運用を自社で担う体制へ切り替えること)」というキーワードが多くの企業で重要課題として掲げられています。

しかし一方で、真逆ともいえる動きも起きています。

2. 揺れる経営判断 ―― 「内製化」と「外部委譲」、二つの潮流

この章で分かること: 「外部委譲」という選択肢の合理性と、内製化・外部委譲それぞれが向く企業の条件

外部委譲という選択 ―― なぜIT部門を切り出す企業が出てきたのか

近年、IT部門そのものを外部の専門企業へ譲渡・移管する大企業の事例が国内でも複数報告されています(各社IR情報・業界紙報道より)。これは「内製化」とは真逆の判断ですが、本業への集中とスケールメリットの活用を優先した、合理的な戦略判断として注目されています。

「内製化」の流れとは一見逆行するように見えますが、この動きには合理的な戦略背景があります。

  • 専門特化によるスピード向上:ITの専門企業に運用を委ねることで、最新技術の導入や人材確保を自社でハンドリングするコストを削減する
  • コアコンピタンスへの集中:本業に経営資源を集中させる
  • スケールメリットの活用:大手コンサルの持つ広範なナレッジや人材プールを活用する

では、どちらが「正解」なのか

内製化か、外部委譲か。どちらが優れているという単純な答えはありません。企業の置かれた状況によって最適解は異なります。判断の軸となるのは、主に以下の問いです。

判断軸内製化が向く外部委譲が向く
ITと事業の関係ITが競争優位の源泉ITは事業の支援機能
変化への対応頻繁な改善・スピードが必要安定運用が主目的
人材戦略エンジニア採用・育成を強化したいエンジニア組織を持ちたくない
コスト構造中長期でのコスト削減を目指す初期・固定コストを抑えたい

重要なのは、「自社にとってITは競争優位の源泉か、それとも支援機能か」を経営として明確に定義することです。

ECや金融など、デジタルそのものが事業の中核であれば、外部委譲はリスクになります。一方、製造業や食品メーカーなど「本業の強みがデジタル以外にある」企業にとっては、外部委譲も一つの合理的な選択肢です。

本記事は「自社のIT能力を競争優位の源泉にしたい」「内製化によってスピードと柔軟性を手に入れたい」という方針を選択した企業に向けて、その具体的な進め方を以下でご説明します。

3. データが示す内製化のジレンマ

この章で分かること: 内製化を推進した企業が直面している「成果が出ない」という現実と、その構造的な原因

内製化を選んだとして、現実はそれほど簡単ではありません。

企業の多くが内製化を推進したいと考える一方、そこで立ちはだかる最大の障壁が「IT人材の不足」です。DX戦略・企画・実行の全工程において、90%超の企業がDX人材の不足を感じていると回答しています。

特に、実際の「実行工程」に必要なIT・DX人材については、約半数(46.2%)の企業で「大幅に不足している」と回答しており、極めて深刻な状況が浮き彫りになっています。
(出典:株式会社メンバーズ「攻めのDX実態調査2025」

さらに衝撃的なのは、「内製化のジレンマ」です。 同調査によると、実際に内製化の割合が多い企業は、外部委託が多い企業に比べて、DXの達成度が相対的に低く留まっているという結果が出ています。

具体的には、内製が多い企業は以下の項目で大きな遅れが生じています。

  • AIやクラウドなど最新技術の活用(▲13.3ポイント)
  • 迅速で柔軟なプロジェクト推進、アジャイル開発(▲18.8ポイント)
  • 顧客中心の思考・設計(▲18.3ポイント)

(出典:株式会社メンバーズ「攻めのDX実態調査2025」

つまり、自社だけで進めようとしても、スキル不足が露呈し、結果としてベンダーに頼っている企業よりも成果が下がる傾向にあります。

一方で、ITベンダーに対する企業の不満として「自社内の知見・ノウハウの蓄積への支援(24.6%)」「自社内の組織連携・変革に対する支援(24.5%)」が上位に挙がっています。
(出典:株式会社メンバーズ「攻めのDX実態調査2025」)

「内製化はしたいが、ITスキル人材が不足していて期待していた成果が得られない」「外部委託では自社にノウハウがたまらず、組織のスピード感も変わらない」――これが多くの企業が直面するジレンマの実態です。

4. 内製化を選んだ場合、どう進めるか ―― 現実的な3つのステップ

この章で分かること: 内製化を成功させるための具体的な進め方と、よくある失敗パターンの回避策

内製化を経営方針として決定したとして、「何から手をつければよいか」という問いは多くの企業が共通して抱えています。ここでは、現場での支援経験から導き出した現実的な進め方を3つのステップでご紹介します。

ステップ1:「内製化すべき領域」を絞り込む

最初の落とし穴は、「すべてを内製化しようとすること」です。 まずは以下の問いで対象領域を絞り込むことをお勧めします。

  • 変化頻度が高い業務はどこか? (頻繁に仕様変更が必要なシステムほど内製化の恩恵が大きい)
  • 競争優位に直結するシステムはどれか? (コアとなる部分こそ自社に知見を蓄積すべき)
  • 現在、外部ベンダーに「何かあるたびに連絡が必要」な領域はどこか? (依存度が高いほど優先度が高い)

全社一括での内製化移行ではなく、特定のシステム・特定のチームからスモールスタートすることが、失敗リスクを抑えながら成果を出す鍵です。実際に内製化に成功している企業の多くは、「社内の特定業務フローの自動化」や「一部機能の改善サイクルの内製化」など、小さな範囲から着手しています。

💡 Sreakeでは、このスモールスタート領域の特定やゴール設定を支援しています。「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。

ステップ2:「人材」と「学習の仕組み」を同時に整える

内製化で最もつまずくのが人材問題です。中途採用でエンジニアを確保する方法もありますが、即戦力の確保には時間とコストがかかります。現実的な選択肢として以下の3つのアプローチが考えられます。

  1. 既存の業務担当者のリスキリング:ITの素養がある社員を対象に、実業務に即したハンズオン研修を実施する
  2. 外部エンジニアとの協働による「学習しながら構築する」モデル:詳しくは次章の「伴走支援」で説明します
  3. 採用と育成の並走:採用エンジニアが入社後すぐに成果を出せる環境を、外部支援で整えておく

重要なのは、人材が「育つ場」を意図的に設計することです。勉強会やドキュメント整備など、知識が組織内で循環する仕組みがなければ、個人に知見が属人化するだけで終わります。

💡 Sreakeでは、お客様の習熟度に合わせて「教示→コーチ→援助→委任」とスタイルを段階的に変えながら、チーム全体が育つ環境ごと設計します。

ステップ3:「自走できる状態」をゴールとして定義する

内製化の成否は、「外部支援がなくても自分たちで動かせるか」という一点に尽きます。開始時点で以下を明文化しておくことを推奨します。

  • 6ヶ月後・1年後のマイルストーン(例:「月次リリースを自社エンジニアのみで実施できる」)
  • 脱外部依存の判断基準(例:「担当エンジニアがドキュメントなしに障害対応できる」)
  • 移行スケジュールの合意(外部支援がある場合、どの時点でフェードアウトするかを最初に合意しておく

💡 Sreakeでは、支援開始時に自走までのロードマップをお客様と共同で策定し、最終的にSreakeが不要になる状態をゴールとして設定します。依存関係を作らないことが、私たちの支援の根幹にある考え方です。

5. 内製化の実行を支える「伴走支援」という選択肢

この章で分かること:Sreakeの伴走支援が「完全な外部委託」でも「完全な内製」でもない理由と、具体的な支援の進め方

前章で示したステップを「自社だけで」実行するのは、多くの企業にとって現実的ではありません。「外部委託」でもなく「完全な独力」でもない、第3のアプローチが「伴走支援」です。

伴走支援とは、外部の専門家が単に作業を代行するのではなく、自社チームの一員として共にプロジェクトを進め、技術やノウハウを社内人材に移転しながら、最終的には自社だけで自走(内製化)できるように支援するスタイルのことです。

その中でも、ITシステムのインフラ構築・運用改善の内製化に特化した支援として、スリーシェイクが提供する「Sreake(スリーク)」があります。

SES・一般的な外部委託との違いは何か

「伴走支援」と聞いて、「従来のSI・コンサルや、SES(システムエンジニアリングサービス)と何が違うのか」と感じる方もいるかもしれません。最大の違いは**「ゴールの設定」**にあります。

従来型SI・コンサルの目的は要求事項の実現(納品・契約終了後はマニュアル対応や保守委託が基本)であり、また、一般的なSESや外部委託は、エンジニアのスキルや稼働時間を提供することが目的です。対して、Sreakeの伴走支援では要望に応じて、ノウハウ・判断基準・チーム文化までを社内に移転することを支援の成果として定義します。

比較軸従来型SI・コンサルSES・一般的な外部委託Sreakeの伴走支援
支援のゴール要求事項の実現 (納品・契約終了後はマニュアル対応や保守委託)スキル・稼働の提供要求事項の実現 お客様の自走(内製化)
支援スタイル固定的な役割分担が一般的固定的な役割分担が一般的顧客の成長に合わせて段階的に変化
発注規模大型一括契約が多い大型一括契約が多いスモールスタートから段階的に拡大可能

特徴1:事業部門と走りながらスピーディに実装・改善する

現在、多くの日本企業が「PoC死」(技術検証の段階で止まり、本運用に乗らない失敗)に直面しています。この壁を越えるためには、IT部門だけでなく事業部門と密に連携し、走りながらものづくりをするアプローチが不可欠です。

Sreakeの伴走支援では、担当エンジニアが自ら「実演」し、ノウハウをお客様に「知識移転」し、お客様が「実践」し、一緒に「発展」させていくサイクルを繰り返すことで、ドキュメントには書ききれない「暗黙知」を組織に定着させます。

実際の現場では、支援開始から最初の数週間は、高い頻度でお客様のエンジニアや事業担当者と会話しながら進めることになります。その過程で浮かび上がる「ドキュメントには絶対に書けない本当の課題」――それこそが、内製化を阻んでいる真の障壁であることが多いのです。

また、支援スタイルは顧客の習熟度に合わせて柔軟に変化します。

  • 教示型(開始期):具体的な手順を細かく示し、タスクを管理する
  • コーチ型(習熟期):対話しながら一緒に目標設定とタスク推進を行う
  • 援助型(自立期):お客様主導の取り組みを裏から支える
  • 委任型(自走期):自転車の補助輪を外すように、お客様の取り組みを見守る

【事例】 あるお客様では、Sreakeの伴走支援開始から数ヶ月で、エンジニアチームがGoogle Cloud上でアプリケーションを新規に開発可能となった旨を共有いただきました。
(参考事例:https://sreake.com/case/hikarisystem/)

「知識移転」のアプローチについては、3-shakeエンジニアがSRE Next 2024で登壇した内容にも詳細を記載していますので、是非ご確認ください。

特徴2:Sreakeが持つ圧倒的な技術知識を総動員

Sreakeに在籍するエンジニアは、クラウドインフラ、セキュリティ、データ分析、AI活用など多様な最新技術の専門知識を持っています。現場担当エンジニアの専門外の課題が発生した場合でも、社内の技術知識プールを活用してプロジェクトを推進できます。

Sreakeには、Kubernetes(クーバネティス:コンテナ化されたアプリケーションの運用を自動化するシステム)のオープンソース開発の有識者や、セキュリティ専門書の監訳者など、業界トップクラスの技術知見を持ったエンジニアが多数在籍しています。

また、特定のクラウドベンダーに依存しないマルチクラウド対応も強みであり、AWSやGoogle Cloudといった主要クラウドの国内パートナーとして、最適な構成を提案できます。

伴走支援がうまくいかないケースについて

一方で、伴走支援がスムーズに進まないケースも正直にお伝えしておく必要があります。

  • ステークホルダのコミットメントが低い場合:現場エンジニアが多忙で時間を割けないケースや、現場エンジニアは積極的だが、意思決定者のコミットメントが低い場合、組織全体の内製化は進みません。上位レイヤの意思決定や、現場エンジニアの継続的な関与が不可欠です。
  • 既存ベンダーとの契約整理が困難な場合:長期の一括委託契約が残っている場合、並行して伴走支援を進めることでコストが増加する時期が生じることがあります。
  • 内製化の対象領域が広すぎる場合:「全部内製化したい」という状態でスタートすると、成果が出るまでに時間がかかり、組織の熱量が落ちやすくなります。

こうした状況に心当たりがある場合も、まずはご相談ください。現状の整理と優先順位の設計からご支援できます。

6. テクノロジーを自社の武器にし、時代を勝ち抜くために

ITをどう扱うかは、もはや技術部門だけの問題ではなく、経営の根幹に関わる意思決定です。

「外部委譲」か「内製化」か。その答えは企業の戦略によって異なりますが、もし「自社のデジタル能力を競争優位の源泉にしたい」という方針をお持ちであれば、内製化への投資は不可欠です。そしてその実行には、人材・技術・学習の仕組みを同時に整える現実的なアプローチが求められます。

「人材が足りない」「何から始めればいいか分からない」「自社だけでは技術力が不安だ」――そうしたお悩みをお持ちであれば、ぜひSreakeの「伴走支援」をご活用ください。

初回相談はヒアリングのみで、提案・見積もりは希望された場合のみご提示します。特定のシステム領域だけのスモールスタートも可能で、多くのお客様が最初の1〜2ヶ月は小さなプロジェクトから試し、効果を確認した上で支援範囲を拡大されています。

事業部門と目線を合わせたスピーディな開発と、Sreakeが持つ技術知識のプールによる強力なバックアップで、企業の内製化を成功へと導きます。

ご質問・ご相談はお気軽にお問い合わせください。

7. よくあるご質問(FAQ)

Q. 内製化とDX推進は同じことですか?

A. 内製化はDX推進を実現するための「手段の一つ」であり、同義ではありません。DXとは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや組織を変革することを指します。内製化はその実行スピードと柔軟性を高めるためのアプローチですが、DXの目的(顧客価値の向上・競争優位の確立)は内製化の有無にかかわらず追求できます。ただし、変化の速い時代において「自社でシステムを動かせる力」を持つことは、DXを継続的に推進する上で大きな強みになります。

Q. SREとDevOpsの違いは何ですか?

A. DevOpsは「開発(Development)と運用(Operations)を統合し、継続的なデリバリーを実現する文化・考え方」です。一方SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)は、Googleが提唱した「ソフトウェアエンジニアリングの手法でシステムの信頼性・運用効率を高める実践的アプローチ」です。SREはDevOpsの考え方を具体的な実装方法として体系化したもの、という位置づけで理解するのが分かりやすいでしょう。SREについての詳細は、以下の入門記事もご参照ください。

SREとは何か(入門記事)

Q. 伴走支援の費用感はどれくらいですか?

A. 支援の範囲・期間・関与するエンジニアの専門領域によって大きく異なるため、一概にはお伝えが難しい状況です。ただし、Sreakeでは大型一括契約を前提とせず、スモールスタートからの段階的な拡大が可能です。まずは現状の課題と目標をお聞かせいただいた上で、最適な支援範囲と費用感をご提示します。初回相談はヒアリングのみで、見積もりは希望された場合のみご提示しますので、お気軽にご相談ください。

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