提案方針の「型」を、営業がClaudeと一緒につくってみた

Tsuboi Ryosuke

2026.9.2

はじめに

Sreake事業部の営業を担当している坪井です。これまでこのブログはエンジニアによる技術的な記事が中心でしたが、今回は非エンジニアの営業目線で、日々の業務にどう生成AIを取り入れているかの一例をご紹介したいと思います。
なお私自身、恥ずかしながら、コーディングの経験もなくエンジニアとしてのスキルは持っていません。

きっかけ:もっと高速で提案活動を進めるために

これまで営業だけで打合せを行った場合、「商談メモをもとに自分で内容を整理→エンジニアに内容を共有・相談→提案方針の検討→資料作成→顧客へ提示」という流れが多くありました。
事業特性上エンジニアとの連携は不可欠ですが、営業としてこれらのアクションをもっと高速化できないか、と考えたのが今回の取り組みのスタートです。

やってみたこと:まず「できるか」から相談する

最初に意識したのは、いきなり完成品を求めるのではなく、「そもそもこれは実現できるのか」をClaudeに相談することでした。実際に投げた依頼はこのような内容です。

・エンジニアやPMが同席せず営業のみで商談を実施した後に、提案方針の擦り合わせ、社内共有、工数見積の相談などを目的とした、エグゼクティブサマリーを作成したい

・このエグゼクティブサマリーは、顧客の背景・状況・課題などがまとめられていると同時に、スリーシェイクとして考え得る提案方針・解決策・顧客に対して提供できるバリューが整理されていることが求められることとする

・スリーシェイクの提案方針や対応スコープの想定については、自社のケイパビリティが軸になっていることが前提である(基礎となる材料はアーティファクトにある会社・事業紹介資料)

これらを1〜2枚のスライドとして作成するために、Notion AIで取得した議事メモをClaudeに取り込み、対応は可能か?

※議事メモの作成にはNotion AIを使っていますが、他ツールで作成したメモでも同じように進められます。

ポイントは、事前にスリーシェイクの事業紹介資料・営業資料を、Claudeのプロジェクトナレッジ(プロジェクトごとに資料を登録しておける機能。引用文中の「アーティファクト」はこれを指しています)に登録しておいたことです。これにより、提案が自社の強みという軸からズレないようにしています。あらためて振り返ると、目的・前提・材料・出力形式の4点を最初に書いていたことが、精度につながったように思います。

Claudeからは「対応可能です」という回答とともに、スライド1枚目に顧客の背景・課題・ニーズの整理、2枚目にSreakeとしての提案方針・提供バリュー・進め方をまとめる、という出力イメージが提示されました。
さらに、作業前に「議事メモの共有方法」や「最終的な出力形式」(今回はPowerPointを指定しました)を確認したうえで、①議事メモの分析 → ②Sreake資料との照合 → ③スライド生成、という進め方を示してくれました。人間同士の商談での段取り確認と似ていて、地に足のついた進め方だと感じました。

実際のやり取り。作業に入る前に出力イメージと進め方を確認してくれるのは、人間同士の仕事の進め方と似ている

結果:使える部分と、そのままでは難しい部分

実際に商談メモを貼り付けてみると、思っていたよりもうまく整理されたスライドが出てきました。ただし、細部の言い回しやレイアウトはそのまま提出・共有できるレベルではなく、自分の手で一部修正を加える必要もありました。たとえば、過度に期待値を上げてしまうような表現になっていたり、工数の粒度が実際のアサイン検討時のイメージと乖離していたり、といった点です。

イメージが伝わるよう、実際に出力されたスライドの一例を掲載します(案件の特定を避けるため、顧客名・時期・工数などは変更・マスキングしています)。

実際にClaudeが生成したスライドの一例。背景・課題の整理と、Sreakeとしての提案方向性、フェーズごとのロードマップがまとめられている

正式な工数見積は、やはりエンジニアに相談する必要があります。
しかしながら、顧客との打合せで得た情報から方針を組み立て、次回の打合せや提案活動を早期に進める点では役立っています。
実際に、顧客との打合せを終えてからそれほど時間を置かずに、打合せ内容の整理〜提案方針の作成まで進められた案件もありました。このサイクルを回すことに慣れると、早ければ商談から1時間後には提案の叩き台となるような資料を完成できるようにもなってきています。

気づき:AIが得意なこと、人がやるべきこと

生成AIと人間の役割分担の輪郭がはっきりしてきたのも、今回の収穫でした。事実を整理し、自社のケイパビリティと突き合わせるという定型的な作業はAIが得意とする領域です。
一方で、その内容をどう伝えれば顧客に響くのか、商談で語られた言葉の裏にある真意までくみ取った提案になっているか、といった部分は、まだ営業である自分自身が考え抜く必要があると感じています。

また、事前に事業紹介資料をプロジェクトナレッジとして登録しておいたことで、単発のやり取りに頼らず、誰が使っても提案の軸がブレにくくなる「型」の土台をつくれたのも良かった点です。

今回のユースケース以外にも、商談内容の要約と分析、営業施策を検討するための壁打ちなど、身近な場面でClaudeを使う機会も増えてきました。こうした日常的な使い方の積み重ねが、非エンジニアにとって生成AIを使いこなすハードルを下げてくれているのだと思います。

なお、これらはすべて会社から付与されたアカウントを、会社のポリシーの範囲内で利用しています。個人が自由に使えるものではない、という点も念のため触れておきます。

まとめ

非エンジニアの営業でも、プロジェクトナレッジのような機能で自社の情報を土台にしておけば、生成AIを商談後の資料作りに役立てられることが分かりました。
今回ご紹介したのは商談後の使い方でしたが、実は初回商談前の仮説提案づくりにも同じやり方を流用していますし、他の営業メンバーにも使ってもらえるよう標準化を進めているところです。
「事実整理と定型化はAI、顧客に響く伝え方や意図の共有は人」という分担を意識しながら、営業チーム全体でこの取り組みを広げていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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